あなたはフォーミュラレースの中継映像を見たことがあるだろうか?人間の目ですら追いかけることが難しいマシンを、中継カメラマンは一瞬も逃すことなくカメラに収め世界に届けている。加えて、中継カメラマンは一般客よりはるかにサーキットに近い場所から撮るため、クラッシュに巻き込まれる可能性を孕む非常に危険な職業なのだ。しかし、レースに必要不可欠な彼らが大きな注目を浴びたことはなかった。本作品の目的は、中継カメラマンとして重いカメラでマシンを捉え続ける難しさと楽しさ、300km/hを超えるフォーミュラマシンが間近を通る迫力と恐怖を体験者に提供することである。我々はレースとその周りの環境を一から構築し、現地取材で感じたサーキットの空気を作り上げることにこだわった。同時に、カメラマンが感じる視覚・音・風を徹底的に再現した。この体験がレースひいてはスポーツを支える多くの人々について考える機会となることを願う。